DDSのコーティングおよびマトリックスに使用される基剤には、以下のようなものがあります。
◎徐放性コーティング基剤
・水溶性高分子膜
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース
・不溶性高分子膜
エチルセルロース、 酢酸セルロース、 エチレン・酢酸ビニル共重合体、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS
◎マトリックス基剤
・不溶性マトリックス基剤
カルバナウバロウ、メチルアクリレート、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール
・崩壊性マトリックス基剤
デンプン、デキストラン、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、 ポリオルソエステル、ポリ乳酸・グリコール共重合体
・膨潤性マトリックス基剤
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレート
◎腸溶性コーティング基剤
セラセフェート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(ヒプロメロースフタル酸エステル)、ヒプロメロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、精製セラック
列挙するだけでもうんざりしてきますね…
ですが、国試にも出題されやすいものもこの中に入っているため、可能な限り、覚えていきましょう。
覚え方
冒頭で列挙した物質の並びを、暗記のために一部並び替えているのでご注意ください。
◎徐放性コーティング基剤
・水溶性高分子膜
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース
まず、
「メチルセルロース・ヒドロキシ・頭にヒのつくもの」は水溶性
それ以外の「~セルロースは不溶性」
と覚えます。
これを覚えると、これ以降の基剤の覚え方でもこの知識を応用できます。
・不溶性高分子膜
エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS
太字にしたところを見てください。
ここは、「水溶性以外のセルロース・エチレン・アアア」で覚えられます。このように覚えておくと、他の基剤との名称の重複がありません。
◎マトリックス基剤
・不溶性マトリックス基剤
カルバナウバロウ、メチルアクリレート、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール
→ロウ・アリ(蟻)・ルアー(釣り具)は不溶性
→ロウでできた蟻型のルアーは水に溶けない、というようなイメージで覚える。
・崩壊性マトリックス基剤
デンプン、デキストラン、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、ポリ乳酸・グリコール共重合体、ポリオルソエステル
→[デンプン、デキストラン、 アルブミ(文:手紙)ン、 コラーゲン、ゼラチン、 ポリ乳(牛乳のイメージ)酸・グリコール共重合体]はスーパーで買える物。ポリオルソ~はポリ袋を折りたたんでいるイメージ。
→ 折りたたんだポリ袋を持参して、スーパーの買い物をしているイメージ。
・膨潤性マトリックス基剤
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレート
→膨潤性基剤なので、水分を吸収しなければならないので、水溶性に近い性質であることはイメージできると思います。
そこで、前述した水溶性基剤と合わせると、
「水溶性基剤+ビニル」
で覚えられます。
ビニルはここで初出ですが、「ばび(ビニル)ぶべぼ(膨潤)」で覚えておくと良いでしょう。
◎腸溶性コーティング基剤
セラセフェート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(ヒプロメロースフタル酸エステル)、ヒプロメロースアセテートサクシネート、精製セラック、メタクリル酸コポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース
腸溶性基剤だけは、前述した「メチルセルロース=水溶性」などの法則を当てはめてしまうと、腸溶性基剤の物質だということを思い出せなくなってしまうので、腸溶性基剤だけは独立して考えます(ややこしいですが、他にマシな方法が思い浮かびません…)。
これは語呂や呪文のように覚えてもらう他はありませんが、太字部分に注目してもらうと、太字部分が腸溶性基剤のみが持つ名称になるので、これを並べて、
「フェート、フタレート(フタル酸)、サクシネート(コハク酸)、セラ、メタル、カメエ(亀)」
と、繰り返し音読などをして、目や耳から覚えるのが一番早く覚えられると思います。
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