腎機能が低下した患者の尿毒症の改善のためなどに処方される薬剤の一つに
『球形吸着炭(クレメジン)』
があります。
この球形吸着炭の添付文書ですが、錠剤やカプセル剤を投与しようとするときに困ったことが発生します。
それは『用法・用量』の記載です。
クレメジンカプセルの添付文書を例にすると、
用法及び用量
通常,成人にクレメジン原体として1日6gを3回に分割し,経口投与する.
クレメジンカプセル200mg/クレメジン細粒分包2g(田辺三菱製薬株式会社) 添付文書より引用
他のメーカーや後発品の球形吸着炭、そして錠剤やカプセル剤といった剤形が違う場合も記載内容ほぼ同様です。この記載の問題点は、
・細粒を前提とした用量しか書かれていないので錠剤やカプセル剤としての用量がわかりづらい
・食事の影響を受けやすいにも関わらず用法が明記されていない
といった点です。
代表的な医薬品の情報集『今日の治療薬』などでも同様の記載がされているので、球形吸着炭を使い慣れていない医療従事者には、非常にわかりづらい記載となっています。
カプセル剤の場合の用量
カプセルの剤形を例に説明します。
必要な投与量を求めるには散剤→カプセル剤に切り替えた時のように、散剤投与時に必要となる量を換算すればOKです。
200mgカプセルの場合は細粒で1回2g相当、つまり1回の服用で10カプセル、1日でなんと30カプセルの投与が必要になります。
現場で初めて球形吸着炭を扱う実務経験の浅い薬剤師にとっては、ぎょっとするような数量かと思います。
嚥下機能が低下している高齢の患者さんに、1日30カプセルという量を服用してもらうのは現実的ではないでしょう。
よって結局、患者さんへの投与は錠剤やカプセル剤ではなく、細粒での投与をすることになるかと思います。
球形吸着炭の用法
用法については『くすりのしおり』の用法・用量の欄にこのような記載があります。
本剤は吸着剤なので、他に薬を飲む場合は、同時に飲まないで、必ず30分〜1時間ずらして飲んでください。
くすりのしおり 球形吸着炭細粒「マイラン」 https://www.rad-ar.or.jp/siori/kekka.cgi?n=44287
よって用法は『食間』とするのが最も適切です。
終わりに
球形吸着炭で錠剤やカプセル剤を選択する場合の用量の設定、そして用法の設定について解説しました。
メーカー各社様、カプセルや錠剤の添付文書にも、剤形に合わせた記述や用法の明記をしてもらえませんでしょうか…?
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