大学の薬学部や薬剤師国家試験で扱う有機化学の転移反応には、
Beckmann転移
Hofmann転移
Cope転移
Claisen転移
Curtius転移
Baeyer-Villiger酸化(転移)
ピナコール-ピナコロン転移(=ピナコール転移)
などがあります。
大学によってはさらに扱う転移反応が増えるかもしれません。
本来なら反応機構をきちんと理解した上で暗記するのが望ましい範囲かもしれませんが、必須問題などで、
「この反応の生成物で適切なものはどれか?」
「Beckmann転移で生成する物質は? 1、アミド 2、エステル 3、ラクタム…」
など、簡易な形で問われることも予想されます。
全くの無策で試験に臨むのも良い状態ではないと思いますので、冒頭に列挙した転移反応名を見て「関係する物質が何も思い浮かばない」という人は、下記の覚え方を参考にして、どのような反応が起こるのかを少しでも思い出せるように各自工夫してください。
そうすれば、試験で1点でも多く稼げるかと思います。
覚え方
各転移反応の全てをカバーできる覚え方ではありませんが、ある程度の数のキーワードの覚え方です。各自アレンジして参考にしてください。
◎Beckmann転移
出発物質:(ケトン+ヒドロキシルアミン→)[オキ]シム
生成物:[アミ]ド(ラクタムも該当する)
・置き網、もしくは、甲殻類のオキアミをイメージ→オキシムからアミドが生成
・[Bec]kmann転移→Beach(浜辺)という英単語をイメージ→浜辺で置き網漁、オキアミがいる、というようなイメージで、キーワードを覚えられます。
◎Hofmann転移
出発物質:アミド
生成物:炭素が1つ減少したアミン
NaOH中でBr2により進行する。
→ [Ho]f[man]n転移と区切り、
・Ho→逆読みでOH→NaOH
・man→並び替えで am・amnの文字列を作る→アミド・アミン
・man→minus(マイナス)という英単語をイメージ→炭素が1つ減る
こうすると、最低でもこれら3つのキーワードを思い出せます。
(Br2までは覚え方に組み込めませんでした。すみません)
◎Cope転移
出発物質:1,5-ヘキサジエン
生成物:異なる1,5-ヘキサジエン
・コープ→ワープという単語をイメージ→2つの二重結合がワープしているようなイメージ
(文字だけで説明するのはちょっと無理があるので、お手元の参考書などで見てもらえれば感覚的にわかりやすいかと思います)
◎Claisen転移
出発物質:アリルビニルエーテル
生成物:アリル基、アルコール
・C[lai]sen転移→laiを並び替えてali→[アリ]ル
・Cla[ise]n転移→iseをエーテル(ether)の英語読みの「イーサー」と見る。
・[Cla]isen転移→Claを逆読みしてalc→[alc]ohol(アルコール)
Claisenという単語を逆から順に区切って解読していけば、アリル・エーテル→アルコール生成の順番を間違えずに済みます。
◎Curtius転移
出発物質:酸アジド
生成物:炭素が1つ減少したアミン
・Curt[ius]転移→minus(マイナス)という英単語をイメージ→炭素が1つ減る
◎Baeyer-Villiger酸化(転移)
出発物質:ケトン
生成物:エステル(ラクトンも該当する)
反応には過酸が用いられる。
・B→Big、V→Veryなどの「大きい」「とても」などの英単語を当てる→過酸
ケトン→エステルは酸素Oが1つ増えているのでイメージしやすいでしょう。
当ブログでは詳細には扱いませんが、転移を起こしやすいのは(ここではエステルが生成されるときに、ケトンC=Oの残りの結合のどちら側に新たな酸素Oが入るのか、という問題)、3級アルキル基、2級アルキル基、フェニル基、1級アルキル基、メチル基の順であるということも忘れずに!
◎ピナコール-ピナコロン転移(=ピナコール転移)
出発物質:1,2-ジオール
生成物:ケトン
・ピナ[コール]-ピナコ[ロン]転移なので、
アル[コール]→ケ[トン]という流れの転移ということを思い出せる。
コメント