α-アミノ酸は薬剤師国家試験に留まらず、高校化学や生物でも登場する、極めて重要な物質です。
α-アミノ酸の20種類の構造式は、国家試験的には生物、化学、物理、衛生、薬理など広範囲に関わってくる超重要事項ですが、きちんと覚えているでしょうか?
覚えていなければ、国試では致命的になりかねない内容です。
なんとなく、で構造を覚えてしまっている人は、必ず覚えてください。
覚え方
構造式の共通部分であるNH2-CH-COOH部分を除去して、残ったCの数で並び替えると(芳香環、複素環はC数から除く)、
C0:Gly
C1:Ala,Cys,Ser,Tyr,Hys,Phe,Trp
C2:Asp,Asn,Thr
C3:Glu,Gln,Met Val,Pro
C4:Ile,Arg,Leu,Lys
(斜体は芳香環または複素環を持つアミノ酸)
これらを以下のようなステップで覚えていきます。
・ステップ0
覚え方のテクニックがあるといっても、やはり、ある程度は構造式がどのような原子の結合で並んでいるかは、ざっくりと覚えていなければなりません。
(例:Metは-C-C-S-C構造を持ちますが、Sの位置はきちんと覚える必要があります。)
なので、初期の段階ではなるべく構造式を何度も見返すようにして、ざっくりと覚えてください。
・ステップ1
Cが0個のGlyはさすがに覚えるまでもないでしょう。共通構造以外の置換基部分はHです。なので暗記テクから除外します。
・ステップ2
これ以降は各3文字略語の頭文字付近を使って語呂合わせ的に覚えていきます。
また、同じ頭文字を持つアミノ酸は1つにまとめてしまいます(例:AspとAsn→Aにまとめる)。
まず、C2の群を
「AT(英語のアット)」や
「ASHTON(アシュトン、アストンなど。人の名前)」
などで覚えます。
・ステップ3
C3の群の頭文字が「G、M、V、P」なので
「Good MVP」
と覚えます。
・ステップ4
C4群は、A、L、I
ALI(アリ、蟻)
LAIL、AIL(ライル、アイル。人や地名っぽい感じ)
ただし、C4群で問題になるのは、Argの頭文字のAがAsp、Asnと同じということです。
構造式をなんとなく覚えて入れば判別は簡単にできますが、そうでない場合は、「Arg→R」と一文字表記で読み替えて、語呂を作ります。「アル」ギニンなので、Rは想起しやすいと思います。
この場合はL、I、Rになるので
LIR(リール。釣り具[実際のスペルはreelです])
などで覚えます。
・ステップ5
ステップ0~5の消去法で、C1群を思い出せます。
また、 「芳香環または複素環を持つアミノ酸は、全てC1群に入る」ということも覚えておくと、暗記の補助になります。
以上です。
今回紹介した覚え方はあくまで一例ですので、自分流でアレンジして、覚えやすい単語を当てて、構造式をしっかりと覚えてください。
◎おまけ1
語呂全般に言えることですが、形のある物の名詞(具象名詞・具体名詞)を使えば、忘れにくい語呂を作ることができます。
例えば「倫理」のような特定の具体的な形を持たない名詞よりも「蟻」という名詞を語呂に使ったほうが、語呂に結び付けた勉強の内容を思い出しやすくなるというのは、なんとなくわかっていただけるかと思います。
◎おまけ2
アミノ酸のカタカナ名称付きのものも記載しておきます。
0:Gly(グリシン)
1:Ala (アラニン),Phe (フェニルアラニン),Trp (トリプトファン),Cys (システイン) ,Ser (セリン) ,Tyr (チロシン) ,Hys (ヒスチジン)
2:Asn (アスパラギン) ,Thr (トレオニン、スレオニン ) ,Asp (アスパラギン酸)
3:Val (バリン) ,Met (メチオニン) ,Pro (プロリン) , Glu (グルタミン酸) ,Gln (グルタミン)
4:Leu (ロイシン) ,Ile (イソロイシン) ,Lys (リシン) ,Arg (アルギニン)
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